トラブルから学ぶ

音楽会前の練習中心の日々が続いています。
でも、朝の遊びの時間は子どもたちの日常であり、大好きな時間です。
その遊びの時間でも、時々はトラブルがあります。
先週のことでした。
かっちゃん(仮名)が、何人かと囲いのお家を作ってその中で遊んでいました。三輪車に乗ったとんちゃん(仮名)が、囲いをものともせず三輪車ごとその中に入っていきました。一所懸命作った囲いがばらばらになっていきます。かっちゃんが、「やめてよ。」「やめてよーっ。」と大きな声で叫んでいます。でも、とんちゃんは、意に介さず続けています。ほかの友達はちょっとどうしてよいかわからず成り行きを見ています。とうとう、かっちゃんは近くにいたY先生に助けを求めに行きました。
「お家がこわされちゃうよーっ。」
Y先生がとんちゃんに近づいて話をしましたが、とんちゃんは、落ち着いています。自分にも理があるという感じでいます。Y先生は、他の子と遊んでいたので成り行きを見ていたわけではありません。なかなか難しそうです。一部始終を見ていたので、私も行き、話しました。
「園長先生、今のことみんな見ていたよ。三輪車でこわしちゃったよね。」
「(小さい声で)ドアがないから。」
「ああ、ドアのあるお家にしたかったんだ。でも、三輪車で、こうやってこわして、ドアのあるお家になるかなぁ。」
「・・・・・・。」
「こわすつもりじゃなかったんなら、謝って一緒につくるといいね。どうする?」
「・・・・・・。」
「じゃあ、どうしたらいいか自分でよく考えてごらん。」
そう言い置いて、離れました。
しばらくすると、三輪車を降りたとんちゃんは、かっちゃんと一緒に囲いの一辺を並べ替えてドア付の家に作り直しています。どうやら、折り合いがついたようです。他の子も一緒にやっています。
遊び始めたところで、チャイムが鳴りました。お片付けが始まりました。
なんとなく、ほっとした様子と、高揚した気分とが感じられました。ニコニコしています。
囲いに使っていたブロックを持ち運びながら、トラブルの当事者ではない子ですが、
「エイ、エイ、オーッ。エイ、エイ、オーッ。」
と嬉しげに歌っている子もいます。みんなの中に、良かった、良かったといった笑顔があります。
Y先生の話。
「とんちゃんは、謝りはしなかったんですけど、ドア作ろう、みたいなことを言って、かっちゃんも頷いて、一緒に直し始めたみたいでした。」
子どもの世界には子どもの世界の折り合いの付け方があるようです。
とんちゃんは、一緒に遊びたかったのかなと思います。でも、すでにそこは完成された遊びの空間になっていました。あとからきて、どう入っていけばよかったのか分からず、そのまま三輪車で入ってしまったのかもしれません。
子ども同士で遊んでいるときにはいろいろなトラブルがあります。いつも大人がいるわけではありません。時には取っ組み合いのけんかになることだってあります。
友達と折り合いを付けて一緒に遊ぶ(活動する)、そのかかわり方を学習していくというのは、このような体験を繰り返していくことなのでしょう。
少しずつの成長です。でも、ホッとします。嬉しいですね。