自立のためにかける時間 (ボタンをかける)

年少さんの着替えの時間を見ていると、たとえばボタン一つかけるのにも、人間はなんと複雑な動作を無意識にこなしているのだろうと、改めて感心してしまいます。
右手と左手の親指、人差し指4本を、実にうまく協力させてボタンをかけます。
これは口で説明しようとすると、大変難しいことになってしまいます。
私たち大人は、自分がボタンをかけられるようになってからすでに久しいわけで、ボタンをかけるときにいちいち考えながら指を動かしたりはしていません。
ですから、ボタンかけにちょっと時間のかかる子に、こうしてああしてと言葉で説明するのはまずできません。子どもは、説明されてもわからないでしょう。
こういうことは、大人がやって見せ、一緒に指を動かしてやることを繰り返しすることで自分のものにしていけるのだと思います。
ボタンかけに時間がかかっていた友達も、次第に短い時間でできるようになってきました。もうちょっとです。
とりわけ自分では見えない一番上のボタンは、“熟練”が必要です。忙しい朝などは大変で、ついやってあげてしまうこともあると思いますが、できるだけ自分でさせて、じっくり付き合ってあげてください。
幼児の自立のために親がかける時間は、そのときは長くかかるように感じますが、短いものです。そしてそれが、子育ての楽しさでもあります。