地区私立幼稚園協会保育実践研究協議会基調講演会にて

今日は、西入間地区私立幼稚園協会保育実践研究協議会基調講演会があり、本園からも8名の教員が参加し、埼玉大学教育学部教授 首藤敏元先生のお話を聞いてきました。
講演のキーワードは、キョウドウ(共同、協同、協働)でした。
今日の講演を聴いて考えました。
人間は、社会をつくって生きていきます。それは、人は人とのかかわりなくしては生きられないということです。
他者と仲間(目標を共有するかかわり)をつくり、空間、時間を共有し、その中で折り合いをつけながら、何事かを達成していくのが人間です。
それが円滑に進むためには、今日よく言われるところの「コミュニケーション能力」が求められます。コミュニケーション能力は、当たり前のことですが人と人とのかかわりの中でこそはぐくまれます。
しかし、経済成長を国民的目標にしてきたこれまでの社会は、人と人とを切り離す方向で進んできました。
たとえば、家族を例にとります。今から3〜40年前は、テレビは家族で1台でした。それが、家族の一人一人が見たい番組を見るために2台3台と増えていきました。それまでチャンネル争いをしながらも家族で一つの番組を見れば、そこでおかしさや悲しさの共有する感情があり話題もあったのですが、それぞれが違った番組を見ることで共有する時間・空間は減っていきました。自然と会話も減ってきたわけです。
家族は、子どものコミュニケーション能力を醸成する一番の基盤です。
個人消費を増やせば経済の内需は拡大します。一家に1台のテレビが一家に2台になれば個人消費は単純に2倍になるわけです。
結果として、家族が共有するものは少なくなりました。内需拡大にはそうした側面があります。
今日、携帯やPCもなくてはならないものになってきていますが、ディスプレイにはない、表情も、においも、音声もしっかりとある現実のコミュニケーションを大切にしながらのそれらの利用を考えていかないと、テレビの例と同じようになると思います。
「コミュニケーション能力」が育っていない故の問題点が多く指摘されている今日、幼児期から育てていかなければならないもの、それは、人と人とのかかわり自体を大切にし、その中で自分や人(友達)の良さに気づき、自己肯定感、自尊感情を育てていくことだと改めて思いました。
そして、そのために幼稚園は協同的な遊びや学びの場を作っていくことが必要なのではないかと考えました。今日のお話の中には、そのヒントがたくさんありました。
また、本園の教育目標「げんきよく、やさしく、たくましく」は、一人一人の人間的な在り方だけをねらいとしているわけではなく、人と人とのかかわりの中での在り方をねらっていると考えています。